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2022.03.23
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【薬剤師が解説】アトピー性皮膚炎の西洋医学的治療法

幅広い年代にみられ、日常生活に支障をきたす「アトピー性皮膚炎」。

前回は、アトピー性皮膚炎を理解するために原因とメカニズムについてご説明しました。

アトピー性皮膚炎の症状とうまく付き合っていくためには、ご自身に合った治療と養生(セルフケア)を行うことが大切です。

 

「お薬」と聞いてまず思い浮かぶのは、病院でもらう処方薬ですよね。処方薬も、正しく使わなければ逆効果になってしまうことも少なくありません。

そこで今回は、皆様にお薬を正しく使って頂くため、「アトピー性皮膚炎の西洋医学的治療法」についてご紹介します。

 

1. 保湿剤

病院や薬局でお薬を受け取るとき、「よく保湿をしていきましょう」と伝えられたことはありませんか?保湿できるものには種類や特徴があり、ひとつではありません。

ご自身の皮膚状態に合わせたものを選ぶことが大切です。以下に、よく処方される保湿剤の特徴を示します。

 

【よく用いられる保湿剤】

・白色ワセリン、プロペト

(メリット)安価、刺激感がほぼない、外部刺激から防いでくれる。

(デメリット)べたつきやすく落ちにくい。

 

・亜鉛華単軟膏

(メリット)患部を保護して炎症を鎮める。浸出液を吸収して乾燥させる。

(デメリット)べとつく。白く残る。

 

・尿素クリーム(ウレパール)

(メリット)10%以下:皮膚の水分を保持する。 / 10%以上:角質を柔らかくする。

(デメリット)刺激を感じることがある。

 

・親水クリーム

(メリット)患部を冷やして痒みを抑える。

(デメリット)刺激を感じることがある。

 

・ヘパリン類似物質(ヒルドイド)

(メリット)保湿効果が高い。血行を促進し発汗を促す。べたつきにくく、塗り伸ばしやすい。

(デメリット)熱を逃がさないため、痒みが増すことがある。

 

2.ステロイド外用薬

ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎治療の基本となるお薬です。

副腎で産生されるステロイドホルモンを人工的に合成したもので、局所の炎症を鎮める作用(抗炎症作用)に優れているほか、細胞増殖抑制作用や血管収縮作用、免疫抑制作用といったはたらきを持ちます。

作用の強さで、Weak(弱い) ~ strongest(最も強い)までの5段階に分かれており、からだの部位ごとに使い分けが必要です。

(副作用)色素沈着や多毛、毛細血管がもろくなることによる血管拡張など

 

ステロイド外用薬は、一時的に皮膚表面の炎症を抑えますが、長期使用により自ら副腎皮質ホルモンを作り出す力が低下し、皮膚萎縮した結果、自己治癒力が低下してしまいます。そのため、ステロイド治療を進める一方で、栄養を皮膚まで届けられるような食生活や、自己治癒力を高められるような規則正しい生活を送ることが大切です。

 

3.プロトピック軟膏

プロトピック軟膏(有効成分:タクロリムス)は過剰な免疫反応を抑制することで、アトピー性皮膚炎の痒み・炎症を抑えます。このお薬の炎症抑制の効果は、ステロイド外用薬のmedium(穏やか)~strong(強い)と同程度とされており、痒みに対する効果も期待できます。

 

有効成分の分子量が大きいため、健康な皮膚からは吸収されず、皮膚のバリア機能が低下している湿疹や炎症のあるところからのみ吸収され効果が発揮されます。

ステロイドがもつ皮膚萎縮・血管拡張・多毛などの副作用はありませんが、使い始めに火照りや刺激感がでやすいといわれています。

 

(火照り・刺激感への対策)

保湿剤を塗ってからプロトピック軟膏を塗る・プロトピック軟膏を塗ったところを冷やすなど。

 

皮膚への刺激感は、通常、塗り始めて1週間ほどで治まりますが、刺激感がひどい場合や刺激感がなくならない場合は医師や薬剤師にご相談下さい。

 

4.抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンの作用を抑えることで皮膚の腫れや痒みを抑制します。

内服薬のみでアトピー性皮膚炎をコントロールすることは難しいため、あくまで補助的な位置づけとして使用されます。

代表的な副作用は「眠気」です。眠気が強く出やすい第一世代のお薬と、眠気が出にくい第二世代のお薬に分類されており、ライフスタイルによって選択されています。

以下に、眠気が出やすい第一世代の抗ヒスタミン薬を使う例をご紹介します。

 

(例)

・旅行中の移動で乗り物酔いしやすいとき

強い眠気を誘うという副作用を利用して眠ってしまえば、乗り物酔いせず目的地に到着できます。

・子供への使用

ぐずってしまうお子さんへの使用で少し鎮静のかかった感じにして、ぐっすり寝て改善してもらうことができます。

 

抗ヒスタミン薬は、効果の感じ方や眠気の症状の現れ方には個人差があるため、ご自身に合ったものの服用をおすすめします。

 

5.JAK阻害薬(コレクチム軟膏)

JAK阻害薬は、免疫活性化シグナル伝達に重要な役割を果たすJAK(ヤヌスキナーゼ)を阻害して、炎症の原因となる物質の分泌を抑えるはたらきと、バリア機能に関与する「フィラグリン」の産生低下を防ぐはたらきがあります。

リウマチの炎症にも利用されており、睡眠障害の改善や生活の質向上にも役立っているお薬です。経口薬・外用薬共に承認されて発売されています。

 

よく処方される「コレクチム軟膏」は、2歳以上の小児に適応していて使われやすいお薬です。プロトピック軟膏の火照り感・刺激感が苦手な人に処方されることが多いでしょう。

 

6.自己注射薬(デュピクセント)

デュピクセントは、世界初のヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体(生物学的製剤)です。

一部のインターロイキン(IL-4、IL-13)というサイトカインのはたらきを直接抑えることで、アトピー性皮膚炎に深く関与するTh2細胞活性化による炎症反応を抑えます。

治療で十分な効果が得られなかった中等度以上のアトピー性皮膚炎の患者さんに対して、高い改善効果と安全性を示しています。

2週間に1回1本皮下注射するお薬です。

 

7. プロアクティブ療法

プロアクティブ療法とは、寛解期のアトピー性皮膚炎に対して、間欠的に外用薬を使用する予防法です。

アトピー体質の皮膚は、炎症反応が繰り返し起こりやすく、症状が落ち着いていったん治まったように見えても再度ぶり返す可能性が大いにあります。

そこで、間欠的に外用薬を使用することで症状の再燃を防ぐことができるのです。

 

(例)

保湿剤とは別にステロイド外用薬 or プロトピック軟膏 or 抗ヒスタミン薬を週2回継続する。

 

8.PDE阻害薬(モイゼルト軟膏)

PDE阻害薬は、炎症性のサイトカイン産生を制御する細胞内のcAMP濃度を高めることで、炎症を抑制するお薬です。アトピー性皮膚炎の末梢白血球では、cAMPを分解してしまうPDE4様活性が亢進しており、この分解酵素をモイゼルト軟膏が阻害します。

そうすると、cAMP濃度が高まり炎症性サイトカインの産生を抑えることができるため、結果、アトピー性皮膚炎の症状を改善することができるのです。

 

〈まとめ〉

今回は、「アトピー性皮膚炎の西洋医学的治療」についてご紹介しました。

現在、アトピー性皮膚炎の西洋学的な治療法は、病気そのものを完全に治す根治療法ではなく対症療法が原則となっています。

原因やメカニズムを理解した上で西洋薬を正しく使うことは大切ですが、それだけでは表面治療になってしまいがち。

西洋薬の表面治療に加えて、セルフケアや漢方薬を取り入れてあげることで、内側から症状の改善が期待できます。

 

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次回は、「年代別セルフケア、中医学観点におけるアトピー性皮膚炎となりやすい人の体質項目」をご紹介していきます。

 

〈この記事を書いた人〉

八仙堂(漢方相談員、薬剤師)堺谷 弥幸

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