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疾患別養生法

2022.03.26
疾患別養生法

意外と知らない・・・! 気づかぬうちに花粉症になっている人が続出?!

「風邪でもないのに、くしゃみや鼻水がでるようになった…」
「晴れて風が強い日は、なぜか目が痒くなる…」
春に限らず、このようなお悩みをお持ちの方は「花粉症」を発症しているかもしれません。

花粉症とは、植物の花粉が原因で生じる季節性アレルギー性疾患の総称です。
患者数は年々増加傾向で、国民のおよそ42.5%が花粉症にかかっていると推測されています。

「花粉症」は春に多くみられると思われがちですが、ここ数年で「通年病」になりつつあるのです。原因となる植物によって、症状が出る時期はそれぞれ異なりますので、鼻ムズを感じたら早めの対処が必要です。
まずは、花粉症の症状や特徴、メカニズムを理解して、ご自身に合った治療とセルフケアを実践していきましょう。

1. 花粉症の症状は、風邪と間違われやすい?

花粉症の症状は、風邪の症状と似ていますが原因は異なります。

つらい症状が花粉によるものか認識できるよう花粉症の症状や特徴についてご説明します。

花粉症は、主に鼻の症状からなる「アレルギー性鼻炎」や目の症状からなる「アレルギー性結膜炎」が現れます。また、「花粉皮膚炎」とよばれる皮膚症状が出る方が最近増えてきています。

「目や皮膚の症状の有無」が、花粉症か風邪か見極めやすいポイントになるでしょう。
また、花粉症の症状には、くしゃみの出かたや鼻水の状態、期間に特徴があります。

〈花粉症の症状の特徴〉
◎つらい時間帯・・・朝方、花粉が多く飛ぶ昼頃と夕方

アレルギー性鼻炎
 くしゃみ:何度も連続して出る
 鼻水:さらっとしていて透明
 鼻づまり:鼻が詰まって口呼吸をしないと息苦しい、就寝中に口呼吸になるため朝方にのどが痛い
 ※随伴症状として頭痛、頭重感、食欲不振、耳・喉・目の痒みが起こることがあります。

アレルギー性結膜炎
 目の痒み・充血、目がゴロゴロする(異物感)、目やにや涙の増加
 ※目を頻繁にこすってしまうと、角膜を傷つけてしまい視力低下を起こすこともあります。

花粉皮膚炎
 皮膚が赤く荒れる(ブツブツと腫れることもある)、皮膚の痒みも伴う
 ※顔やまぶた、首など、花粉が触れやすい部分に症状が現れることが多いです。

◎その他の症状:発熱、喉の痛み、咳
 通常はでにくい症状です。発熱しても、せいぜい微熱程度でしょう。

2. 花粉症のメカニズム

花粉症がなぜおこるのか、それは一言で言うと、「免疫機能の過剰反応」です。
体に侵入して危害を及ぼすものを排出するのが通常の免疫の働きなのですが、害のない花粉が入ってきたときに「これは悪者だ!」とからだが過剰に反応して免疫機能が働いてしまうと、花粉を外に出そうと、くしゃみや鼻水、涙などの症状が現れます。以下に、免疫反応の流れを詳しくご説明します。

  1. 花粉が体に入ってくると、血液内をパトロールしている白血球(この図でいう貪食細胞)が、花粉を悪者と認識します。
  2. 貪食細胞は、悪者だと判断した花粉の断片を目印として、ヘルパーT細胞(リンパ球)に提示します。花粉の断片を「抗原」といいます。
  3. 本来、抗原を提示されても花粉は悪者ではないのでスルーされるところなのですが、ヘルパーT細胞も過剰に反応します。そして、過剰に反応したヘルパーT細胞は、他の細胞に情報を伝える物質の一つ「インターロイキン」を放出します。
  4. 放出されたインターロイキンの指令を受けて、B細胞が抗体を作る形質細胞に変身します。
  5. 形質細胞は、抗原に合わせた抗体をつくります。(花粉に対する抗体はIgE抗体とよばれています。)
  6. できあがったIgE抗体は、肥満細胞や好塩基球にくっついて、花粉が再び入って来たときにいち早く攻撃する状態になります。

ここまでは、抗体を作るメカニズムになりますので、この段階では、まだ花粉症は発症しておりません。

免疫機構が完成すると、次回、同じ花粉が入ってきたときに、肥満細胞や好塩基球にくっついているIgE抗体が花粉を認識して、ヒスタミンやロイコトリエンなどが放出されます。この放出された物質によって、くしゃみや鼻水などが引き起こされます。
このように、花粉が入ってきてからすぐに反応することを、即時相反応といいます。


上の図は、肥満細胞から放出されたケミカルメディエーターがどのように作用して症状を引き起こすかを示しています。また、ここで遅発相反応についてもご説明します。

即時相反応では、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどが放出されてすぐに症状が現れますが、遅発相反応では、肥満細胞から好酸球を介して物質が放出されて症状が起こるので、少し時間がかかります(6~10時間ほど)。

・ヒスタミンは鼻や目の知覚神経を刺激して、くしゃみや目の痒み、喉のイガイガ感を引き起こします。その後、分泌腺に伝達がいき、花粉を外に出そうと鼻水や涙やめやにが出るようになります。
・肥満細胞や好酸球から分泌されるロイコトリエンやPAFは、ヒスタミンと共に血管に作用します。そうすると、血管が拡張するほか、血液が漏れるようになり浮腫を引き起こします。すると鼻の粘膜が腫れて鼻づまりが生じます。
・目では血管が拡張して充血が見られるようになります。
他にも、トロンボキサンA2やPGD2なども鼻づまりや充血を引き起こすのです。

〈まとめ〉

今回は、「花粉症の症状とメカニズム」を詳しくご説明しました。
花粉は、晴れていて風の強い日や雨天後の晴れた日、乾燥した日、気温が高い日などに飛散しやすいため、十分な対策が必要です。

今後の記事では、2回にわたって「花粉症の西洋医学的治療」「養生法(セルフケア)、中医学観点における体質チェック」をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「今すぐ自分の体質を詳しく知って、適切な治療をしていきたい」
「食事や運動など健康に気をつかっているのに、なかなか症状がよくならない」
そういった人は専門家に相談してみるといいでしょう。

「八仙堂」では、体質に合わせた漢方薬だけでなく、養生法(セルフケア)や西洋薬について、お客様の納得がいくまで詳しくご紹介・ご説明させて頂きます。

店舗でのご相談だけでなく、「Web漢方相談(メール相談)」や「電話相談」も行っていますので、こうした相談窓口も利用してみてくださいね。

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〈この記事を書いた人〉

八仙堂(漢方相談員の卵、薬剤師)堺谷 弥幸

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