疾患別養生法
あなたは大丈夫?増えている「隠れ不眠」チェックして早めに対策!
「布団に入ってもなかなか寝付けない」「眠っている間に何度も目覚めたり、早く起きてしまう」このような症状だけが「不眠症」だと思っていませんか?
じつは、不眠症は不眠そのものだけではなく「日中に疲れを感じるなどの不調」も不眠症状の1つになるんです。
今回は、日中の生活にも支障をきたしかねない不眠症とは何か、そのチェックリストや原因・メカニズムについてご紹介します。
1.不眠症とは
睡眠時間は個人差がありますが、日本人の睡眠時間の平均は7時間程度と言われてます。
不眠症とは、夜間に良質な睡眠を十分に取ることができず、倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などで仕事や学業に支障をきたす病状です。
自分では不眠症と感じておらず、日中の生活に支障がでる「隠れ不眠」の人も少なくありません。
不眠症は特殊な病気ではなく、誰にでも起こりうる病状で、日本人の5人に1人(60歳以上の方では約3人に1人)が睡眠問題で悩んでいるといわれてます。
【不眠症状のタイプ】
・入眠困難
床に入ってもなかなか寝つけない、眠りにつくのに30分~1時間以上かかり、それを苦痛と感じる状態です。
年齢を問わず不眠症の訴えで最も多く、やる気スイッチが切れにくい真面目な方に多くみられ、不安や緊張が強い時におこりやすいといわれています。
・中途覚醒
成人の不眠で多い訴えなのが中途覚醒です。睡眠中に何度も目が覚めて、その後、なかなか寝つけない状態です。
・早朝覚醒
自律神経の興奮によって自分の望む起床時刻より2時間以上早く目覚めてしまう状態です。
精神的ストレスを受けやすい方に多くみられます。
但し、中高年・高齢になるにつれて筋力が衰えると眠りがだんだんと浅くなり目覚めやすくなり、早寝早起きになります。
・熟眠困難
睡眠時間は十分なのに、ぐっすり眠った感じが得られない、眠りが浅い状態です。
睡眠時無呼吸症候群(*1)や寝ている間に足がぴくんぴくんと動く周期性四肢運動障害(*2)など、睡眠中に症状の現れる病気が関係していることもあります。
(*1) 睡眠時無呼吸症候群
眠っているあいだに呼吸の障害が起こり、睡眠の量と質が低下する。昼間に強い眠気や頭痛を起こすことが多い。
(*2)周期性四肢運動障害
眠っているあいだに足がぴくんぴくんとした動きをくりかえす。本人は気づかずむしろ眠りが浅いと感じることが多い。
2. もしかして不眠症かも?セルフチェックで自分の不眠度合いをはかろう
以下の項目をチェックし、からだの状態や生活習慣が「不眠症チェックリスト」に幾つ当てはまるか数えてみましょう。以下のことが最近1か月の間に、少なくとも週3回以上あったかどうか思い出してチェックしてみてください。
▢ 夜すぐに寝付けないと感じますか?
▢ 夜間、睡眠途中に目が覚めることはありますか?
▢ 希望する起床時刻よりも早く目が覚め、それ以上眠れないことはありますか?
▢ 睡眠時間が足りていないと感じますか?
▢ 睡眠の質が悪いと感じますか?
▢ 日中に憂鬱な気分になることはありますか?
▢ 日中に心と体の調子が悪いと感じることがありますか?
▢ 日中に眠気を感じますか?
いくつ当てはまりましたか?
☒ 1~4つ当てはまる方は、若干不眠の傾向があるようですね。
☒ 4つ以上当てはまっていた方は、不眠体質といえるでしょう。
☒ 1つでも当てはまっていた方は、良質な睡眠をとれるような養生を実践することをおすすめします。
3.不眠症の原因とは
不眠症の原因は、大きく分けると以下の5つのうちどれかに当てはまります。
これらは、英語の頭文字をとって「5P:5つのP」と呼ばれています。
*生理的要因(Philological)
生活習慣や睡眠時の環境に原因があるケースです。
(例)夜間勤務の仕事で昼に眠る必要がある、周囲の騒音、室内が明るすぎる、暑さや寒さ、枕や寝具がからだに合っていないなど。
特に多いのが夜のスマホやパソコンの使い過ぎによるケースが増えています。
*心理的な要因(Psychological)
メンタル面に原因があるケースです。神経質で生真面目な性格の人ほど、ストレスをより強く感じ、睡眠の質にこだわりやすく、不眠症になりやすいです。
(例)ストレスや緊張、不安や心配事が気になって眠れない、 楽しいイベントの前に気が高ぶり眠れない
* 薬理学的な要因(Pharmacological)
飲食物や治療薬の副作用で不眠をもたらすケースです。
覚醒作用がある飲食物:コーヒー・紅茶などに含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンなど(カフェインには利尿作用もあり、トイレ覚醒も増えます。)
睡眠を妨げる薬:降圧剤・甲状腺製剤・抗がん剤など
日中の眠気が出る薬:抗ヒスタミン薬
*身体的な要因(Physical)
体の不調や病気による症状が原因のケースです。
(例)高血圧や心臓病(胸苦しさ)、呼吸器疾患(咳・発作)、腎臓病・前立腺肥大(頻尿)、糖尿病、関節リウマチ(痛み)、アレルギー疾患(かゆみ)、脳出血・脳梗塞
また、睡眠時無呼吸症候群やムズムズ脚症候群(レストレスレッグス症候群)など、睡眠に伴って呼吸異常や四肢の異常運動が出現するために睡眠が妨げられる場合も珍しくありません。
*精神医学的な要因(Psychiatrica)
精神的な病気(神経症やうつ病、統合失調症など)は不眠を伴うケースが多いです。
「早期覚醒」と「日内変動(朝は無気力で夕方にかけて元気がでてくる)」の両方がみられる場合には早めの受診が必要です。
4.睡眠の質が落ちるメカニズムとは?
先程ご紹介したように、不眠の原因は様々で、誰にでも起こりえます。
睡眠のメカニズムを理解して、ご自分の睡眠の不調がどこが原因しているかを確認して、適切な薬と生活養生をとり入れていきましょう。
わたしたちのからだは、日頃からの暮らしの積み重ねでつくられています。生活習慣を見直して、睡眠の質をはじめとする不調の出にくい体づくりを目指したいですね。
今回ご紹介した「不眠」のお悩みについて、西洋薬で一時的にも眠れるようにしながら、漢方薬で薬に頼らなくても良いバランスにしていくアプローチも有効です。
中医学の治療方針でこのアプローチ方法を説明すると、現在の不快症状を軽減していく「標治」と、体質の根本から改善していく「本治」を組み合わせた方法と考えます。
体質や原因などタイプに応じた漢方薬を用いることで、不快症状を軽減しながら心と体の不調を体質的に緩和して再発予防できるようになることで注目されてます。
但し、漢方薬はその人に最適な生薬の組み合わせでないと効果がないだけではなく、副作用が起こる場合もあります。大切なのは、自分に合った漢方薬を選ぶことです。
「八仙堂」では、西洋医学的治療の効果をより発揮できるように、漢方薬をご提案いたします。さらに、お客様に寄り添ったセルフケア(養生法)もお伝えさせていただいております。
店舗でのご相談だけでなく、「Web漢方相談(メール相談)」や「電話相談」も行っていますので、一人で悩まずにこうした相談窓口を利用して、専門家に相談してみては如何でしょうか。
自分に効く漢方と出会いたい、お手頃価格で不調を改善したい、という方におすすめです。
八仙堂HP:https://www.hassendou.com/
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〈この記事を書いた人〉
八仙堂(漢方相談員、薬剤師)堺谷 弥幸
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